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財団法人日本ナショナルトラストからのメッセージ

一年をふりかえって
山岡通太郎
(財)日本ナショナルトラストにとって、昨年いちばんのトピックスは、何といっても都内文京区千駄木所在の故安田楠雄氏邸をご寄贈頂いた件であります。
この事に関しましては、すでにマスコミを通じ詳しく報道されましたので、詳細は省略いたしますが、幸子夫人をはじめ御遺族の皆様の文化財保存に対するご意思が極めて固かったこと、並びに関係省庁の方々のナショナルトラストについてのご理解が深かったことが、極めて短期間のうちに事務をスムースに進めることが出来たことを御報告したいと思います。
これにより、当財団は都内に初めて価値ある家屋、庭園を保有することとなり、英国型ナショナルトラストの道を歩むこととなります。
つぎに、世界遺産に登録されました白川郷合掌造民家、旧寺口家の修復工事も予定どおり竣工いたしました。一九八六年よりスタートいたしました「文化財取得計画」の各プログラムもこれにより、ほぼその見通しがつきました。
また、当財団では、個別のプロジェクトにおいて、その保存、活用について努力されている全国各地の地方自治体、活動団体等の方々との相互交流を図るためのネットワークづくりも進めております。
蒸気機関車の動態保存を通して産業遺産の保護をめざす「日本鉄道保存協会」の事務局を担当したのが最初ですが、本年は鳴き砂(鳴り砂)保存ネットワーク、全国茅葺きネットワーク等が各地でシンポジウムを開くなど本格的な活動を開始いたしました。
国際交流活動も、英、米、アジア日太平洋各地のナショナルトラストの大会や現地調査などに、役・職員がそれぞれ参加する等交流を深めております。
最後に、加藤一郎・野村好弘両先生を中心に二年間にわたり勉強して参りました成果も『歴史的遺産の保全に関する実態と制度に関する研究報告書』として世に問う連びとなりました。
当財団はまもなく創立満三十年を迎えることとなります。
本年もひきつづき皆様方の一層の御支援と御指導をお願い申しあげる次第であります。
<(財)日本ナショナルトラスト理事長>

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